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第20回日本鍼灸師会全国大会in茨城 Tsukuba③

前回の続きです。

ランチョンセミナー、特別講座、市民公開講座という3コマがその後同じ会場で行われました。

別会場で行われた「第2回スポーツ鍼灸トレーナー研修会」というのも興味はあったのですが、より日本鍼灸師会の様子がしっかりわかるのは特別講座だと思い、そのまま会場を移動するのが面倒だったわけではなく、はじめから最後まで同じ会場である大ホールで過ごしました。

ランチョンセミナーは「緩和医療における鍼灸治療の実際ーがん専門病院における臨床からー」というテーマで神奈川県立センターの非常勤鍼灸師星野直志先生の講演。

当初何もわからに手探りの状態から苦心して臨床に取り組み、徐々に信頼を得て受診希望が増えていき、患者とともに関わる家族への治療も行っているとのこと。

がん患者ということになると、やはり家族のサポートというものが必須になるケースは多いので、病院でそういう体制がとれていることは素晴らしいと思いました。

特別講座は「鍼灸師はこのままでよいのか〜50年後、100年後の鍼灸師を語ろう〜」というテーマで明治国際医療大学の伊藤和憲先生、湘南慶育病院の鳥海春樹先生の2人によるディスカッションに、会場の聴衆もQRコードで読み取ったアンケートに答える形で参加するもの。

企画としていかようにでもなる感じでしたが、そこまで具体的な方向性がない中での議論になっていて、なかなかライブならではの難しさを感じました。

おふたり自身が熱くなっていて、なかなか聴衆の意見を取り込むということができづらかったようにも感じます。

そういった中にも「鍼灸は残っても鍼灸師は残らない」という、鍼灸師が世の中が求めている状況にマッチしていない、医療に行き過ぎているというところなど、省みる必要があると感じました。

もちろん医療に全くノータッチな人もいるんですけどね。

ただ世間の思う鍼灸とのギャップは感じます。

腰痛、肩こり、膝痛という世間のイメージですね。

そうではなく、東洋医学の医者という意識で行っていても、届いていない現状があるわけです。

そしてそこまでそういう病治しをできていない、食べていくのに精一杯、という鍼灸師も多くいるわけです。

課題は山積。。。

最後は市民公開講座、「東洋医学ホントのチカラ 鍼灸の現在地と可能性」というテーマで、NHKのその番組名のディレクターである山本高穂氏の講演。

番組を見たことのある人もいると思いますが、鍼灸の可能性を紹介している番組です。

番組で使われた映像をところどころ流しながら様々な可能性を伝えていました。

この講演は市民公開講座だから一般の方も聴講できるので、その方達にもわかりやすく伝わるためにことばを選んでいました。

こういったことが話題になり、シリーズ化して何度も多くの目に触れるのはとても喜ばしいことだと思いますが、同時に「科学的にどういう作用が働いているのか」という切り口で、東洋医学としての鍼灸の考え方にフォーカスしているわけではないんですよね。

途中映像トラブルがあったときに、東洋医学では「痛み」というものをどう考えているのか、という質問が山本氏から座長にありましたが、回答に窮していたので、とてももどかしい感じでしたね。

それこそが今の鍼灸業界の現状を物語っているように思いました。

この学会ははじめての参加でしたが、いろいろなものに触れることで新たな考えが生まれるし、やはりこういう場には行くべきですね。



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by shinkyu--kaminari | 2025-10-09 20:30 | 鍼の修行 | Comments(0)